子宮鏡検査とは、⼦宮の中に細いカメラをいれて、⼦宮の内部を直接観察する検査です。子宮内膜ポリープ・粘膜下筋腫・中隔子宮・慢性子宮内膜炎などの診断に有用です。当院では先端部外径3.1mmのOLYMPUS社製の子宮鏡を使用しておりますので痛みを感じることはほとんどありません。
検査時間は5分から10分程度で、検査後は感染予防に抗菌薬を処方いたします。
検査の時期
子宮内膜の薄い月経終了後から排卵前までの時期が最適です。(月経開始から7日目から12日目頃)
子宮鏡検査を行う前には感染症検査(B型肝炎・C型肝炎・梅毒・クラミジア検査など)が必要となります。
他院で感染症検査がお済みの方は、検査結果を持参していただければ、初診日に子宮鏡検査を行うことが可能です。
子宮鏡初診で予約をお取りください。
※手術は初診日にはできません。
検査を行う⽉経周期は必ず避妊をして来院してください。
料金
保険 | 約3,000円 |
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自費 | 約8,800円(税込) |
子宮内膜ポリープ
子宮内膜ポリープとは?
子宮内膜ポリープは、子宮内膜に発生する良性疾患であり、その発生にはエストロゲンが関与しています。
不正性器出血や過多月経を引き起こすこともありますが、症状がないことも多く見受けられます。
子宮内膜ポリープの症状
子宮内膜ポリープには、以下のような症状が出ることがあります。
出血量が多いことに自覚がない場合でも、血液中の鉄分が不足することで貧血(めまい、たちくらみ、頭痛)症状が現れることもあります。
不妊との関連性
原因不明の不妊女性のうち16.5%~26.5%には子宮内膜ポリープがあると言われています。また、子宮内膜症の女性で不妊になりやすいとの報告もあります。
子宮内膜ポリープが不妊症を引き起こす過程はまだ不明な点も多く、基本的にはポリープの大きさ・発生部位・ポリープの個数などが影響すると考えられています。
さらに最近では子宮内膜ポリープと反復着床不全の原因の1つである慢性子宮内膜炎との間にも関連があると言われています。
1cm以上の子宮内膜ポリープは自然に小さくなることは難しく、また悪性疾患(がん)である可能性もあるため、不正性器出血や他に原因のない不妊症例に対しては、子宮内膜ポリープは切除することが望ましいと考えられています。
子宮内膜ポリープの検査
- 経腟超音波
ほとんどの子宮内膜ポリープは、経腟超音波で診断することができます。 - 子宮鏡検査
経腟超音波でポリープの疑いが見つかった場合は、子宮鏡検査にて子宮内を直接確認します。 - 病理学検査
子宮内膜ポリープと診断するためには、組織の一部を採取して顕微鏡で観察する検査が必要になります。
子宮内膜ポリープの治療
手術
子宮内膜ポリープには「子宮内膜掻爬(そうは)術」「子宮鏡下手術」があります。
「子宮内膜掻爬(そうは)術」は患部を直接確認しながら行う手術ではないため、十分にポリープを切除できない可能性もあります。
一方で「子宮鏡下手術」は、内視鏡の先端についたカメラによって患部を直接診ながら行う手術のため、確実にポリープを切除できます。
特に不妊症の治療目的で子宮内膜ポリープを切除する場合は、手術後の子宮鏡下子宮内膜ポリープ摘出術が推奨されています。
施設によりますが、通常は日帰りもしくは1泊2日の入院が必要になることが多いです。
当院では日帰りにて子宮内膜ポリープ切除の手術をおこなっております。
慢性子宮内膜炎
慢性子宮内膜炎とは、子宮内膜局所の持続的な炎症を伴う疾患で、体外受精で複数回良好胚を子宮内に移植しても妊娠しない反復着床不全や、流産を繰り返す習慣流産の既往をもつ女性の約40~60%に認めます。慢性子宮内膜炎の原因のほとんどが子宮内の細菌やウィルス感染と考えられています。
慢性⼦宮内膜炎の検査・診断
子宮鏡検査による子宮内腔の状態の確認と⼦宮内膜組織採取によるCD138免疫染色検査を行います。
検査の時期は月経終了後から排卵前までとなります。(月経開始から7日目から12日目頃)
検査を行う⽉経周期は必ず避妊をして来院してください。
子宮鏡検査を行う前には感染症検査(B型肝炎・C型肝炎・梅毒・クラミジア検査など)が必要となります。
他院で感染症検査がお済みの方は、検査結果を持参していただければ、初診日に子宮鏡検査を行うことが可能です。
子宮鏡初診で予約をお取りください。
結果は約3週間後にお伝えいたします。
治療
抗菌薬で治療を行います。
また、子宮鏡にてポリープ(マイクロポリープ)を認める場合には子宮鏡手術を行います。加療後には再度、子宮内膜組織を採取し効果判定を行い、改善を認めない場合には別の抗菌薬の投与を行います。
料金
子宮鏡検査:8,800円(税込)
子宮内膜組織検査:14,300円(税込)
その他に診察料、検査後の抗菌薬等の料金がかかり合計は約28,000円(税込)になります。
慢性子宮内膜炎に対する検査および抗菌薬治療には保険適用がありません。
子宮内膜ポリープ よくある質問
子宮形態異常(中隔子宮)
中隔子宮とは?
先天性子宮形態異常は流産、早産、胎位異常、子宮内胎児発育遅延、不妊症などとの関連が報告されている疾患です。
原因は胎生期におけるミュラー管の伸展・融合・退縮の異常により引き起こされ、流産を繰り返す不育症と深く関連する子宮形態異常は中隔子宮と考えられています。
また、最近ではARTの普及に伴い中隔子宮は反復着床不全の原因の一つとしても考えられつつあります。一般女性において中隔子宮を有する割合は0.1~1.5%程度との報告があります。
中隔子宮の診断には3D経腟超音波検査、子宮卵管造影、子宮鏡、MRIなどが有用です。中隔子宮に対する治療は子宮形成術が選択されています。
現在、手術の有効性については賛否ありますが、流産を繰り返す方に関しては子宮鏡下中隔切除術が行われています。子宮鏡手術ですので侵襲も少なく、早期に術後社会復帰も可能と考えられています。
また術後には子宮内腔の癒着予防や術後の避妊目的でホルモン療法や子宮内避妊具の留置などを試みることがあります。
術後の経過にもよりますが通常は術後3か月程度で妊娠許可となります。子宮鏡手術であれば、術後に妊娠に至った際の出産様式は経腟分娩が可能と考えられています。
先天性子宮形態異常には中隔子宮以外にもいくつか存在しますが、子宮筋腫や子宮内膜症などに比べると頻度も少ないため、産婦人科医でも的確に診断することが難しいこともありますので、より専門の施設への受診をお勧めいたします。
当院では3D経腟超音波検査で診断を行い、手術が必要と判断された方には日本医大付属病院へ紹介させていただきます。
診断
中隔子宮の診断には3D経腟超音波検査、子宮卵管造影、子宮鏡、MRIなどが有用です。
治療
中隔子宮に対する治療は子宮形成術が選択されています。
現在、手術の有効性については賛否ありますが、流産を繰り返す方に関しては子宮鏡下中隔切除術が行われています。
子宮鏡手術ですので侵襲も少なく、早期に術後社会復帰も可能と考えられています。
また術後には子宮内腔の癒着予防や術後の避妊目的でホルモン療法や子宮内避妊具の留置などを試みることがあります。
術後について
術後の経過にもよりますが通常は術後3か月程度で妊娠許可となります。
子宮鏡手術であれば、術後に妊娠に至った際の出産様式は経腟分娩が可能と考えられています。