子宮内膜ポリープ
子宮内膜ポリープとは?
子宮内膜ポリープは、子宮内膜に発生する良性疾患であり、その発生にはエストロゲンが関与しています。
不正性器出血や過多月経を引き起こすこともありますが、症状がないことも多く見受けられます。
子宮内膜ポリープの症状
子宮内膜ポリープには、以下のような症状が出ることがあります。
出血量が多いことに自覚がない場合でも、血液中の鉄分が不足することで貧血(めまい、たちくらみ、頭痛)症状が現れることもあります。
不妊との関連性
原因不明の不妊女性のうち16.5%~26.5%には子宮内膜ポリープがあると言われています。また、子宮内膜症の女性で不妊になりやすいとの報告もあります。
子宮内膜ポリープが不妊症を引き起こす過程はまだ不明な点も多く、基本的にはポリープの大きさ・発生部位・ポリープの個数などが影響すると考えられています。
さらに最近では子宮内膜ポリープと反復着床不全の原因の1つである慢性子宮内膜炎との間にも関連があると言われています。
1cm以上の子宮内膜ポリープは自然に小さくなることは難しく、また悪性疾患(がん)である可能性もあるため、不正性器出血や他に原因のない不妊症例に対しては、子宮内膜ポリープは切除することが望ましいと考えられています。
子宮内膜ポリープの検査
- 経腟超音波
ほとんどの子宮内膜ポリープは、経腟超音波で診断することができます。 - 子宮鏡検査
経腟超音波でポリープの疑いが見つかった場合は、子宮鏡検査にて子宮内を直接確認します。 - 病理学検査
子宮内膜ポリープと診断するためには、組織の一部を採取して顕微鏡で観察する検査が必要になります。
子宮内膜ポリープの治療
手術
子宮内膜ポリープには「子宮内膜掻爬(そうは)術」「子宮鏡下手術」があります。
「子宮内膜掻爬(そうは)術」は患部を直接確認しながら行う手術ではないため、十分にポリープを切除できない可能性もあります。
一方で「子宮鏡下手術」は、内視鏡の先端についたカメラによって患部を直接診ながら行う手術のため、確実にポリープを切除できます。
特に不妊症の治療目的で子宮内膜ポリープを切除する場合は、手術後の子宮鏡下子宮内膜ポリープ摘出術が推奨されています。
施設によりますが、通常は日帰りもしくは1泊2日の入院が必要になることが多いです。
当院では日帰りにて子宮内膜ポリープ切除の手術をおこなっております。
慢性子宮内膜炎
慢性子宮内膜炎とは、子宮内膜局所の持続的な炎症を伴う疾患で、体外受精で複数回良好胚を子宮内に移植しても妊娠しない反復着床不全や、流産を繰り返す習慣流産の既往をもつ女性の約40~60%に認めます。慢性子宮内膜炎の原因のほとんどが子宮内の細菌やウィルス感染と考えられています。
慢性⼦宮内膜炎の検査・診断
子宮鏡検査により子宮内腔の状態を確認します。
また、⼦宮内膜組織を採取し、顕微鏡でCD138陽性形質細胞の数をカウントします。検査を行う⽉経周期は必ず避妊をして来院してください。
治療
抗菌薬で治療を行います。
また、子宮鏡にてポリープ(マイクロポリープ)を認める場合には子宮鏡手術を行います。加療後には再度、子宮内膜組織を採取し効果判定を行い、改善を認めない場合には別の抗菌薬の投与を行います。
料金
子宮鏡検査:約8,800円(税込)
子宮内膜組織検査:14,300円(税込)
慢性子宮内膜炎に対する検査および抗菌薬治療には保険適用がありません。
子宮内膜ポリープ よくある質問
子宮鏡下手術ってどんな手術?
子宮鏡という専用の内視鏡を子宮内に挿入し、直接モニターで確認しながらポリープを切除する手術です。患者さんの負担が少ないため、子宮内膜ポリープの切除では一般的な方法です。
※当院では細い子宮鏡(外径5㎜×3.3㎜)を用いて手術を行いますので痛みは少ないと思われますが、不安や緊張を和らげるために麻酔の使用をお勧めしております。無麻酔での手術も対応可能となっておりますので、無麻酔を希望される方はご相談ください。
メリット・デメリットは?
メリット
- おなかを切らずに済む
- ポリープの取り残しが起きにくい
- 痛みが少ない
- 社会復帰が早い
デメリット
- ポリープの大きさや位置によっては対応が難しい
- 子宮内感染症が起こる可能性がある
- 多発ポリープや広基性ポリープ(茎が幅広いもの)など、当院で対応が難しいと判断した場合には連携先の医療機関をご紹介いたします
- 手術が長時間に及び、当院での手術継続が不可能と判断した場合には手術の途中でも中止することがあります。その場合は、後日改めて再手術を行うか、入院施設のある病院にご紹介いたします。また、万一、手術中に合併症が起きてしまった場合には、入院できる病院へ搬送し、入院治療をしていただくことがあります。
費用
子宮内膜ポリープの子宮鏡下手術は、保険が適用されます。
日帰り手術の場合、3割負担で約2~3万円程度になります。
- 2024年1月4日より保険外併用療養費として、子宮鏡手術実施の際、16,500円(税込)選定療養費を徴収することとなりました。
選定療養費は、手術時に約1時間の時間枠をお取りし、診療時間を確保するため頂戴しております。ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
当院での治療の流れ
初診予約
まずは初診のご予約をお願いいたします。
電話予約番号:03-6273-7858
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初診
問診、超音波検査で子宮内膜ポリープの状態を確認し、次回の子宮鏡検査の予約を入れます。
また、子宮鏡検査や子宮鏡手術に必要な検査(B型肝炎、C型肝炎、梅毒、クラミジア、淋菌、子宮がん検査など)も行います。他院で検査がお済みあれば結果を持参してください。不足している検査のみを当院で行わせていただきます。
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子宮鏡検査
子宮鏡にて子宮内膜のポリープの状態を確認いたします。
他院で既に子宮鏡検査を施行されている方でも、再度当院でも検査をさせていただきます。
※ポリープの大きさや位置によっては対応が難しい場合があります。
その場合は専門の病院にご紹介いたします。
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手術当日
手術当日は飲み物や食べ物を口にしないでお越しください。
水分(水・お茶)は朝9時までにしてください。
<当日の流れ(例)>
9:30 来院(前処置が必要と判断された方は8:45頃来院していただきます。)
10:00 手術(通常15~30分程度)
10:30 手術終了
11:30 お休みを挟んで問題なければ帰宅
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術後診察(1ヶ月後)
術後の経過を診るために受診していただきます。
また、手術で切除した検体の病理検査の結果をお伝えいたします。
気になることなどありましたらご相談ください。